えびすの つぶやき

2010年(平成22年)2月20日
~川尻小学校~
その二
川尻鎮撫隊本営址
戦禍から川尻を救った奉行
上田 休(やすみ)

明治十年二月十四日、薩摩の先発隊は「栄名敢えて好まねど 非道を売るは天の道もはやこの上忍ばれず せめては尽くす武士の数万の民を救わんと 京(今日)を限りの死出の旅」 当時薩摩ではやりだした唄を口吟みながら熊本へと軍を進めた。 二月二十日から川尻の町には続々と薩摩兵が集結した。町民は街に満ち溢れた薩摩兵に好意的で何かと便宜を図っていたようだった。二十一日、近見村辺りで熊本鎮台兵との小競り合いが続いているとの噂だったが、二十二日には薩軍の総勢が熊本城攻撃に向かい、川尻は後方基地として若干の兵士が駐留するだけの静けさに返った。 しかし、戦局がはかばかしくないのに苛立つのか、駐留軍は町民を軍夫として駆り出し、弾薬の運搬や兵糧の調達、炊き出し等、過酷な使役を強要した。逆らえば暴力を振るう。労働の代償は払わない。町民は恐怖のどん底に戦いた。頼りの戸長役場の役人たちは雲隠れ、混乱に乗じて各地からやって来るならず者は横行する。家を閉じ近郊へ引っ越す人も増え、残っている人々の不安は募るばかりであった。
途方にくれた町の有志、岡町で米屋を営む米村金八ら十数名は半田村に住む上田休を訪れ、救いを懇願した。
休は熟慮の末、二十六日門弟たちと長子勤を伴い川尻に赴くと、有志らを集めて、暫くの間、鎮撫隊の名で町民の保護に当たることを告げ、同時に休は薩軍駐留隊を訪れ、薩・官軍中立の立場で川尻の鎮撫に就くことの了解を得た。なお、車夫・軍夫の賃金等も定めている。「河陽保護日記」(河陽は川尻町)によると鎮撫の実動は即日、正月十四日(陽暦二月二十六日)からであるが、その條に賊匪侵暴の報あらば、札の辻の版を急打し、各寺是に応じて巨鐘を撃撞し、防火手、是を聞いて会所に集まり・・・・・。つまり消防夫を招集」し、義勇が隊長となって指揮する。自警団の結成で義勇には休の門下生が大部分であった。「人民保護概略」では、薩兵人夫を駆使す、若し是をきかざれば刀(銃)を掲げ是を脅す、市人甚恐懼してこれを告ぐ、休といえど、これに抗する力なければ、相当の代金を取りて是に応ぜせしむ。 また次の項には 夜、官軍の軍艦が二丁港に近付く、鎮撫の士をもって海岸を守って欲しいとの要請が薩軍からあったが、「鎮撫が本意・軍事は中立が原則です」と言ってきっぱりと断った。 休の綿密で迅速な采配により川尻の町はたちまち平穏を取り戻した。その噂は周辺の村々に伝わり、鎮撫依頼が相次いだ。休が各地に出掛ける日も多くなったが続々と鎮撫隊が結成され、休の庇護の下に結束を固め生業に励むことが出来るようになっていった。



川尻文化を考える会   代表 西 輝喜

2009年(平成21年)4月20日
~船の魅力その二~
幕府の大船への怖れは的中しました。関ヶ原の戦いから二百五十三年後の嘉永六年(一八五三)六月、ペリー提督に率いられたアメリカ東洋艦隊の黒い大船四隻が突如江戸湾に進入してきたのです。途方もない大きい黒船の到来に国中は騒然となり、幕府はその弱さを世間に露呈し、幕府崩壊への第一歩となりました。 この頃、志ある人々は「尊王攘夷だ、佐幕開港だ、公武合体だ」と国の行く末を論じ、さらにその主張を行動に移すなど国内は騒然たる雰囲気に包まれて行きました。 さて、土佐高知藩の郷士坂本竜馬は十八歳の嘉永六年(一八五三)、江戸に出て千葉道場で剣術の修行に励み、仲間と時節について研鑽を積んだ後、土佐に帰国して土佐勤王党に参加しました。翌年脱藩して再び江戸に出た坂本竜馬は赤坂の勝海州邸を訪ねます。血気に逸る竜馬は、成り行きでは勝を斬る覚悟でした。
その年、文久二年(一八六二)に幕府の軍艦奉行となっていた勝安房守は、そんな竜馬を見ると、ゆったりした表情に時折微笑を浮かべながら二年前、遣米使節の随行艦として、オランダから購入した咸臨丸という蒸気軍艦に乗り組み、太平洋を横断した時の「感動、そして知った世界の広さと文化」を語り、日本人が今急いでなすべきことは航海術の習得であり、これが海軍力の強化となり、日本の国益につながると「国防と国益を兼ねた開港論」を諄諄と説いた。〝目から鱗が落ちる〟とはこのことだろう。「攘夷」を叫ぶ己の視野の狭さが恥ずかしく、竜馬はその場で勝安房守に入門を乞いました。

金太のつぶやき

私たちの暮らしの中で生命を吹き込まれ育まれてきた熊本の伝統工芸品。その伝統工芸品は、時代を超えて芸術性を増し、国境を越えて人々の心に優しさと安らぎを与えています。また、日本の四季が、「創造」と「感性」の豊かさを育み熊本の工芸品に彩りを持たせてきました。海路交通が盛んな時代、海の玄関口であった肥後(熊本)の川尻は、必然的に工芸が生まれる土地柄にあり、その伝統を今日まで継承している町です。川尻のまちづくりの観光スポット「くまもと工芸会館」では伝統工芸普及のために工芸逸品の展示販売と各種工芸教室を開催しています。皆様方の新鮮で創造豊かな感性を「くまもと工芸会館」でぜひ創作してください。