46号 2015年(平成27年)8月20日
お伊勢参り道中記 その二(見原家古文書)
二月二十九日 見学地 (※は注釈)
明石(あかし)城   ※ 兵庫県明石市 近世の平山城
舞子の浜  本文 船より景趣程よし
一の谷   本文 山の峠に弁慶鐘懸の松見ゆ
須磨の浦  本文 景趣難尽筆
※ 神戸市須磨区 淡路島を望む景勝地 景色は筆に書き表すことも出来ないほどきれいだ。
兵庫    本文 かかり船、大小数隻
生田(いくた)の森  本文 山の上にあり
※ 一の谷から生田の森までは源平合戦の歴史を色濃く残す。
神戸 泊   ※ 平安末期、平清盛が築造した港で日明交易の拠点だったが、後で堺が日明の貿易港になる。
※年貢米以外の納屋(なや)米、麦、大小豆などを積んだ川尻からの商い船に便乗して、神戸で下船。船は商いをしながら大坂方面までも行くらしい。神戸からは伊勢往復は、馬か駕籠(かご)だった。なお、ここまでの名所は帰りの船を待つ間の散策で説明します。
※神戸の地名は神功皇后ゆかりの生田神社に由来すると言われます。また、平清盛が福原京を営み、源平争乱や湊川の戦いなどで戦場になったところです。
三月一日  見学地
灘の大酒屋  ※ 兵庫県南東部、六甲山麓斜面一帯の灘は六甲山からの急流を利用した水車で精米、酒造や絞油で栄えた。
西の宮    ※ 兵庫県南東部大阪湾沿岸に位置し、神(じん)功(ぐう)皇后(こうごう)ゆかりの広田神社の門前町。
尼崎     ※ 兵庫県東南端、尼崎藩の城下町。
三月二日  見学地
八ツ半頃(二時)
安治(あじ)川入ル ※ 安治川は琵琶湖から大阪湾に注ぐ旧淀川の分流の一つ
で、中之島西端より大阪港まで。
天保山入口  ※ 天保二(一八三一)年、安治川の浚渫(しゅんせつ)(川底のさら
景よし    え)で出た土砂を安治川の河口左岸に積み上げた。
この小丘に高灯篭を設置、河口の目標とした目標山。幕末には砲台が
築かれた。
大坂着船
土佐堀二丁目 油屋(あぶらや)善兵衛方泊リ
同日夕、
野慶町より新町まで(夜景)見物
三月三日  見学地
西・東本願寺  ※ 見原家は先祖の供養を大切にした。京都市下京区
御坊南寺      堀川の西本願寺、同じ下京区烏丸通りの東本願寺
同日夕、夜店行   を参拝拝したのでしょう。
三月四日  見学地
道頓堀大芝居
朝五ツ(七時)頃より行き夜帰る。
※ 道頓堀角(かど)。座磨(ざま) 此のあたり、見世物いろいろあ
り 大あたり一切二十四文
三月五日  見学地
大坂八軒家浜(はま)渡(わた)しにて朝五ツ半(八時)頃乗る。一人前百四十四文。二
人前貸切る。
※ 座る場所が窮屈だったので、二人前を支払ってゆ
っくり座ったのでしょう。

西 輝喜

 

~船の魅力その二~
幕府の大船への怖れは的中しました。関ヶ原の戦いから二百五十三年後の嘉永六年(一八五三)六月、ペリー提督に率いられたアメリカ東洋艦隊の黒い大船四隻が突如江戸湾に進入してきたのです。途方もない大きい黒船の到来に国中は騒然となり、幕府はその弱さを世間に露呈し、幕府崩壊への第一歩となりました。 この頃、志ある人々は「尊王攘夷だ、佐幕開港だ、公武合体だ」と国の行く末を論じ、さらにその主張を行動に移すなど国内は騒然たる雰囲気に包まれて行きました。 さて、土佐高知藩の郷士坂本竜馬は十八歳の嘉永六年(一八五三)、江戸に出て千葉道場で剣術の修行に励み、仲間と時節について研鑽を積んだ後、土佐に帰国して土佐勤王党に参加しました。翌年脱藩して再び江戸に出た坂本竜馬は赤坂の勝海州邸を訪ねます。血気に逸る竜馬は、成り行きでは勝を斬る覚悟でした。
その年、文久二年(一八六二)に幕府の軍艦奉行となっていた勝安房守は、そんな竜馬を見ると、ゆったりした表情に時折微笑を浮かべながら二年前、遣米使節の随行艦として、オランダから購入した咸臨丸という蒸気軍艦に乗り組み、太平洋を横断した時の「感動、そして知った世界の広さと文化」を語り、日本人が今急いでなすべきことは航海術の習得であり、これが海軍力の強化となり、日本の国益につながると「国防と国益を兼ねた開港論」を諄諄と説いた。〝目から鱗が落ちる〟とはこのことだろう。「攘夷」を叫ぶ己の視野の狭さが恥ずかしく、竜馬はその場で勝安房守に入門を乞いました。

金太のつぶやき

私たちの暮らしの中で生命を吹き込まれ育まれてきた熊本の伝統工芸品。その伝統工芸品は、時代を超えて芸術性を増し、国境を越えて人々の心に優しさと安らぎを与えています。また、日本の四季が、「創造」と「感性」の豊かさを育み熊本の工芸品に彩りを持たせてきました。海路交通が盛んな時代、海の玄関口であった肥後(熊本)の川尻は、必然的に工芸が生まれる土地柄にあり、その伝統を今日まで継承している町です。川尻のまちづくりの観光スポット「くまもと工芸会館」では伝統工芸普及のために工芸逸品の展示販売と各種工芸教室を開催しています。皆様方の新鮮で創造豊かな感性を「くまもと工芸会館」でぜひ創作してください。